犬を眺めて人生を考えるおじさんブログ

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昭和天皇独白録
20081116155715

この本は面白かった。昭和天皇が戦争中どのように考えていたかがよくわかる本であった。そこに現れた政治家の人物評が的確で、天皇が人物を判断するという思わぬ側面を知ることができた。寺崎英成のノートがアメリカで偶然発見されるという経過も面白い。この本は二部構成でできている。「昭和天皇独白録」と、寺崎の娘マリコ・テラサキ・ミラーの「“遺産”の重み」である。

「昭和天皇独白録」の冒頭に大東亜戦争の遠因に第一次大戦後の平和条約に人種平等案が容認されなくて、カリフォルニアの日本人の移民拒否などをあげている。このことを知る人はすくなくて、ディズニーランドを知っている人の方が多い。張作霖事件爆死の件では河本大作大佐の関与を天皇は知っていたのであった。結局軍法会議にかけることさえできなくなってうやむやになって終わった。このとき軍法会議が開かれれば、河本は日本の謀略を全部曝露するというと嚇しをかけたらしい。最近定年という体裁のいい形で止めた田母神航空幕僚長と同じような話である。軍事行動に確信犯的な行動は一番問題になるのだが、田母神事件も80年以上も前の事件処理と同じ構造で政治が行われているのは、この国の最大の課題である。
太平洋戦争の回避に動く人達の動向と、戦争しか無いという方向に大きな亀裂ができ、その間で悩む天皇の姿が印象的である。そこには神としての天皇ではなく、この国の主権者としての苦悩が現れていると思う。天皇が伊勢神宮に対して平和の神であるという認識を持っていたことも、初めて知ったことであった。武運長久を祈る対象として伊勢を考えていなかったのである。
終戦の詔勅を出す御前会議の様子もはっきりと述べている。そしてクーデターのような状況があったことも述べている。その中で近衛師団長が殺されたこともあまり知られていない。

寺崎の娘マリコ・テラサキ・ミラーの「“遺産”の重み」は、個人的に感動した。家族を思う愛情がひしひしと伝わってくる名文である。最近感動ものに弱くなったのか、本を読んでいても泪が出てしまうのである。戦争にほんろうされた家族が如何にして時代を生きたか、また日本とアメリカの架け橋になって生きていきたいという決意を固め、彼女の役割と考えるところも素晴らしかった。ここのところを読むだけでも価値がある。

昭和史の研究者の座談会がついている。この貴重な資料に対して4人の意見が交わされるのだが解説は要らないと言うのがすなおな感想である。

<ミッテゴラン・ランキング>☆☆☆

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