
森銑三の本である。子供向きに書かれた江戸時代の科学者の伝記集である。50人余りの人たちが取り上げられている。その多くは恵まれた人より恵まれない境遇で育った人が学問のために一心に努力して新しい知識を開拓していく物語であり、子供向きに書かれたといっても内容は素晴らしいものである。通院している4年生の子供に朗読してもらったがすこし難しく助けないと読めなかった。でも子供に読ますべき書物として第一に勧められる本である。
仙人の様な永田徳本から始まって、角倉了以、杉山和一と続く。貝原益軒、関孝和、青木昆陽なども面白い、久保赤水や間長涯など知らない人もいて、勉強になった。山脇東洋、前野良沢、杉田玄白などは医学史でおなじみである。石の専門家木内石亭などは面白いのだがあまり知られていない。友人のF君のお寺に彼の墓があって、彼の遺品の有名な石が2・3個残っていて『雲根志』などもあって個人的に親しめた。なんといいても蘭学の系統はすごいです。語学の天才というかそういう人がいるようですね。中野柳ホ、稲村三伯とか馬場こくり、岡研介などもすごい人です。何っといっても平賀源内の人生が波乱に富んでいるのです。蝦夷地の開発には、最上徳内、近藤重蔵、間宮林蔵なども忘れてならない人ですね。
江戸の人もすごいですが、この本の著者の森銑三もすごい人です。小学校4年しか出なくて、すごい学問を完成されたのです。明治の人、鳥居龍蔵や南方熊楠とともに生き方を教えられる人です。

柳田國男全集、妹の力、巫女考、毛坊主考。妹の力は昔読んだのに忘れております。日本の底辺部の放浪する人々、女性の呪術的能力を高く評価した本です。また今日差別用語となっている言葉もその根源を探っていくと深い意味を持つことを教えています。
女性を治療して、女性には男に及ばない霊的な能力があるような気がします。その力が現代女性は弱くなっているのではないでしょうか。神と人をつなぐ能力は女性なら誰でも持っている気がします。そのような能力の現れが気分のムラになって表現されるのだと思います。現代ではうつ病や不眠症、自律神経失調症などの病名がついてしまい、神との交信をする力を気づかないまま過ごしている気がするのです。自分に神が現れることもあるのだと思うとまた新しい心の文化が開けるのかも知れません。